犬は「避妊・去勢手術」で寿命が延びる!?

犬の去勢・避妊について

日本では、ほとんどの犬が避妊または去勢手術を受けています。

かかりつけの獣医から進められ、なんとなく愛犬の不妊手術をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に、私がカウンセリングで飼い主様のお話をお伺いしていると、病気を予防できるからと獣医に勧められて行った方は多いです。

そして、犬の不妊手術を行うのが一般的である日本は、愛犬の避妊や去勢を行わなければ、しばし無責任な飼い主だと非難されることもあります。

避妊・去勢手術が推奨される主な理由


不妊手術が推奨される主な理由は、大きく分けて以下の3つがあるようです。

1.望まれず生まれる不幸な犬を減らす
2.不妊手術によって病気を予防できる
3.攻撃性が減らせる

1.望まれず生まれる不幸な犬を減らす

犬の繁殖はプロの知識が必要です。むやみに素人が犬を交配させてしまうと、病気や気質などの面で健全でない犬を誕生させてしまう恐れがあります。

ただ、「望まれずに生まれる不幸な犬を減らす」ためにだけに不妊手術が推奨されるのはいかがでしょうか。

確かに、不妊手術は根本的に子犬を産ませなくできるため、望まない繁殖の抑止になります。しかし、「不幸な犬を減らす」ことに関しては疑問が残ります。不幸な犬がいるのは、犬の生殖能力のせいでしょうか?

そうではなく、人の責任感の問題のように私個人的には感じます。この点が改善されない限りには、不幸な犬を減らしていくのは難しいでしょうか。

2.不妊手術によって病気を予防できる

不妊手術を行うことで、たしかに一部の病気のリスクを下げることができます。

しかし、不妊手術をすることで、一部の病気のリスクは上がることはご存知でしょうか。次回、この件に関してはご説明いたします。

3.攻撃性が減らせる

攻撃性が減らせるというのは、主に「雄の同性」に適応されます。

雌犬が避妊した場合、もしくは不妊手術を行う時期によっては、攻撃性が増加する可能性があるデータもあります。

不妊手術をすることで寿命が延びる!?


ジョージア大学の調査により、「避妊・去勢手術により寿命が長くなる可能性がある」ことが発見されました。

獣医学研究者たちは、「イヌの寿命に対する不妊の影響」による調査を実施しました。

調査では、1984年~2004年までの20年間4000を超える犬の死亡記録の分析を行います。

記録を分析した結果、未去勢・未避妊の犬の平均年齢は7.9歳でしたが、去勢済み・避妊済み犬の平均寿命は9.4歳でした。

(※この犬のグループは、獣医に来た病気の動物の集団をあらわすため、この研究での犬の平均寿命は、一般的な犬の平均寿命よりも短い傾向にあります)

去勢済みの犬と未去勢の犬の寿命の差が生じた理由として、生殖ホルモンの一部、特にプロゲステロンとテストステロンが関係しているのではないかと考えられました。

💡性ホルモンについて

・女性ホルモン…プロゲステロン
・男性ホルモン…テストステロン

これらのホルモンは、免疫機能を抑制する働きがあると言われています。

そのため、不妊手術によって生殖機能を取り除くことで、性ホルモンの分泌が減少し、免疫機能の抑制が緩和される可能性が考えられます。

そして、それが感染リスクの減少にも役立つ可能性があります。

💡感染リスクの減少

・病気にかかりにくい
・病気にかかっても重症化しにくい

人間の研究でも、去勢された男性はされていない男性よりも長生きするといったデータが存在するようですので、性ホルモンが寿命の長さに影響する可能性はあるります。

参考≫Eunuchs May Hold Key to Longevity


では、不妊手術は万能!

…かと言うとそうではありません。今回は長くなりましたので、次回は不妊手術のメリット・デメリットについてご説明したいと思います。

Hoffman M. Jessica, Creevy E. Kate, Promislow Daniel,(2013), Reproductive Capability Is Associated with Lifespan and Cause of Death in Companion Dogs,PLOS ONE

Wong Julielynn(2012),Eunuchs May Hold Key to Longevity, abcNEWS