BAT(Behavior Adjustment Training)とは、世界的に有名なグリシャ・ステュアートが提唱するトレーニング方法のことを指します。
BAT(Behavior Adjustment Training)とは
・Behavior…行動
・Adjustment…調整
・Training …トレーニング
BATは、犬が自分で行動を調整できることを目的としたトレーニングです。
犬が自分自身の安全性をコントロールできるように調整することで、犬の反応性(吠える、暴れる、咬むなど)を低減させることを円滑に進めることができます。
言葉だけでは、イマイチ想像しにくいと思いますので、ご興味のある方は一度以下のBATを実演している動画を参考にしてみてください。
BATが推奨される犬は、
・攻撃性、恐怖心、欲求不満などを引き起こすきっかけが、他の犬や人などの生き物である場合
・散歩で過剰に興奮してリードを強く引っ張り続ける場合
上記のようなケースです。
恐怖や痛みを与えることなく、犬がが自ら選択し、 そこから学ぶことができるような状況を常に整えます。
コントロールすること
昔ながらの犬のトレーニングは、人は犬を支配しコントロールすることが有益であると考えられていました。
しかし近年の多くの研究により、犬を支配する必要性はなく、むしろ有害であることが証明されています。
犬の行動を変えるためには、犬が自身で安全性をコントロールできるように調整したほうが、実はよっぽど有益であるということです。
BATでは、犬に選択肢や自由を与えることを重視しています。
これは、動物の欲求の1つに「自分の望む結果を得るために、環境をコントロールしたい欲求」があることに基づいています。
動物であるヒトもイヌも、同じようにこの欲求を持っていると言われています。
Joffeの研究によると
●Aのグループのラット…
餌や水などの供給を自分で自由にコントロールできる環境。
●Bのグループのラット…
餌や水はあるが、供給は自分でコントロールできない環境。
【結果】
自身で環境をコントロールできるAのラットのほうが、落ち着きがあり、環境の変化に強い傾向があった。
以上のような類似した研究は、この他にもいくつかあります。
環境をコントロールできる選択肢があるかどうかで、ストレス・レベルの差が出ると考えることができます。
飼い主が悩んでいる愛犬の行動の多くは、愛犬の興奮レベル(ストレス・レベル)が高いことが大きな影響を及ぼします。
BATで推奨されているロングリードを使用することで、犬は自分自身で環境(結果)をコントロールしやすくなり、ストレスレベルが下がりやすくなります。
結果的に、飼い主の介入に大きく左右されずに、犬自身で良い選択肢を選ぶことができるようになってきます。
愛犬をコントロールするのではなく、成功に導く手助けをするBATはその点非常に有益であると言えます。