大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
突然ですが、
愛犬の行動を改善したい!
と思ったとき、その方法を検索してみたら、沢山あり過ぎてどれが良いか混乱した経験はないでしょうか。
有名なプロが勧めているトレーニング方法だから、この方法が1番いいはず!
倫理的にも、犬のトレーニングでは体罰は一切してはいけないと思う。
体罰をすることで、あれだけ吠えていた犬が吠えなくなったトレーニング動画を見た!
場合によっては、体罰も必要なのかも…
実際に、私も犬のこと・犬のトレーニングを学び始めた当初は「適切なトレーニング方法はどれ…?」「時には罰も必要なの…?」と悩んでいました。
疑問を解消するため、「犬」についての情報収集にかなりの時間を費やして、様々な機関・メンター(先生)から学んできました。
ちなみに、体罰を使用したトレーニングについても「何故そのトレーナーは体罰を使用したほうが良いと思うのか」を知りたくて、かなり時間をかけて学びました。
今回は、私が犬のことを初めて学ぶときに知りたかったことを皆さんにシェアします。
目次
そもそも、なぜ犬の行動を改善するの?
まず初めに
あなたは「なぜ愛犬の行動を改善したい」のでしょうか。
愛犬とより楽しく暮らしたいため?
愛犬の苦しみを少しでも減らしたいため?
自分が楽をしたいため?
ほとんどの方は、愛犬の苦しみを減らして、より楽しく一緒に暮らしていきたいからではないでしょうか。
それを達成するためには、私が思う一番大切なことは「自分がその犬だったら?」をよく考えることです。
例えば、私の「自分が犬だったら?」をほんの一部ご紹介します。
・痛いことは嫌い→愛犬に体罰などの苦痛を与えることはしない
・首が締まるのは嫌だ→ハーネスを使用
・苦手な対象は見るのも嫌!(わたしは毛虫…)→愛犬の苦手なものは克服する必要がある場合のみ段階的に慣らす、かならず行動の自由(逃げる/近づく)を設ける
・ショッピングなどに行くときは好きな場所にいきたい→散歩の自由度を増やす。ロングリードを使用
・パサパサな食べ物は好きじゃない→手作り食を提供
小さい頃、親から「人が嫌なことはしたら駄目だよ」…と教育された人も多いのではないでしょうか。
それを理解出来ている心優しい人でも、犬という異種族になると、どう接したら良いかわからず、結果的にプロがオススメする体罰を使用してしまった人を何人も見てきました。
「自分がその犬だったら?」をよく考えることで、様々な情報に振り回されずに、一貫性のある対応を愛犬にして上げれるのではないでしょうか。
散歩で歩かない犬のケースについて考える
では、実際によくある犬の行動改善ケースで「自分がその犬だったら?」を交えて考えてみましょう。
【例】
ハーネスを装着した愛犬が、散歩でほとんど歩きません。
呼んでも、リードを引っ張っても反応しません。
皆さんは、どのようにして犬が歩くようにプランニングしますか?
実際に、犬を前方方向に歩かせる方法は無数にあります。
正解は1つではありません。
- オヤツを見せながら、前に進むことを誘導する?
- 人の隣について歩く練習をする?
- 首の締まるリードを使用して、犬が止まったらリードを引っ張る?
手っ取り早さを求めるのであれば、スリップリード(引っ張ると首が締まるリード)を使用するのが、最も早く変化があらわれるでしょう。
しかし、思い出してください。
「自分がその犬だとしたら?」
そうすることで、最も早く変化があらわれるスリップリードを使用する選択肢はなくなるでしょう。
この犬が散歩であるけるようになるために必要なトレーニング方法は科学的な知見も交えながらプランニングしていく必要があります。
・足や腰が痛くて歩きたくなかった?
・散歩のなかで遭遇する刺激が怖くて歩きたくなかった?
・それとも、他の理由?
このように、学習歴やボディーランゲージなど様々な観点から分析していくことで、根本的解決を図る方法を模索することが出来ます。
根本的原因を置き去りにしたまま、取り急ぎ行動を変えることで、かならずその後にそのしわ寄せがきます。
例えば、ストレスが増えることで免疫が低下。それにより常同行動や病気がちになる。また他の問題が発生する(散歩に行く前に逃げる、攻撃行動)などが考えられます。
因みに、食べ物などの強化子を見せびらかしながら、犬を前方に誘導する方法も、比較的早く変化があらわれやすいでしょう。
しかし、多くの場合で根本的解決を図れるわけではありません。
長期的に見ると、根本的解決が出来ていないことが原因で、散歩に行きたがらない、また散歩で歩かなくなることも想定できます。
そのため、私はこの方法を使用することはありません。
さいごに
愛犬の行動を変えるために、ついつい時間が掛からない簡単な方法を模索してしまう気持ちも良く分かります。
ただし、そもそも愛犬を迎えたのは、一緒に楽しく暮らしたいからではないでしょうか。
犬がなぜその行動をするのか、その行動をしないのか、を一度愛犬の立場になって考えてみることは、愛犬の行動を改善するうえで非常に大切な要素になります。
・体罰を使用しそうに気持ちがぶれそうになったとき
・どのような方法で愛犬を育てたら良いか迷ったとき
そんなときは、この記事を少しでも思い出してくれると嬉しく思います。